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絶対零度にデレはない ソノヒミタユメ

- Absolute Zero Epilogue -

 視界がぼやけている。

 なぜだろう、前がはっきりと見えない。

 その時、全身に強い衝撃が走った。

 突然の事だったので、対応できない。

 天と地がひっくり返る感覚。

 漠然と迫ってくる、死の恐怖

 浮遊感。吐き気を催す。

 前にある硬いものに、必死にしがみつく。

 ここは何処だ?

 嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ。

 死にたくないよ!

 周りの声が聞こえない。

 時が止まっているように感じる。

 左腕が引っ張られた。

 怖い。少し抵抗する。

 力に負けて、そちらに倒れこむ。

 上から何かが覆い被さってきた。

 ぼんやりと人影が見えた。

 ……あぁ、優菜姉さんだ。

 もう一度、大きな衝撃が走る。

 世界が、揺れる。

 姉さんが必死に何かを叫んでいる。

 聞こえないよ。なんて言ってるの?

 そう言おうとしても声が出ない。

 もう一度、衝撃。

 今までのとは比べ物にならない強さ。

 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

 聴覚が復帰した。

 ものすごい轟音。そして周りの悲鳴。

 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!

 何度も何度も。

 体に叩きつけられるような痛みが走った。

 歯を食いしばる。

 幾度も襲ってくる浮遊感。

 ——ハル、絶対に私の手を離さないで!

 姉さんの声が聞こえる。

 姉さんの手を握り直し、身を委ねる。

 ドゴゴゴゴゴゴゴゴグシャァアアァ!

 轟音、轟音、悲鳴、轟音、悲鳴、轟音。

 頭の中がかき回される。

 あぁ、もうダメだ。

 全てが遠退いてゆく感覚。

 そして僕は、はっきりと見た。

 一人の少女が宙を舞う姿を。

 僕はどうすることも出来ない。

 ————————————。

 そし×完×に意××な×なる×前。

 ————————————チリン。

 どこ×懐××い×の音×聞×た気×した。

[絶対零度にデレはない 完]